いつまでも眠れない
私の夜は
永遠の群青の姿をして
まぶたの裏に棲みついています
真綿の布団の中 丸まってみせれば
肺や心臓が働いている気配が
くぐもった音で響いてくる
まるでここは羊水の底
なんだか
なんだか非道く 面白可笑しい話
この世で最も安心できる場所を真似た舞台で
不眠と云う悪魔が
正しい夜を殺しているなんて
深い水底から浮かび上がる空気の泡のような
白い錠剤が私を訪れます
ほんのり甘く
ささやかな清涼感はきっと
私の中を冒し腐らせようとする狂気ごと
私を眠らせてくれるでしょう
白み始めた地平線が
残酷な朝を私に告げるけど
まだひとつ 星がわずかに瞬いているから
大丈夫なのです。
「おやすみなさい。いい夢を。」